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女盗賊プーラン

インドは21世紀の現代でも、古代から5000年も続くカースト制度が社会を縛っている。そんなインドにひとりの女が革命の狼煙を挙げる、女盗賊プーランと呼ばれた女である。インドは四代文明のひとつ、インダス文明が栄えた国。古代の風習が未だに生きていて、先進国にはよく理解できない国だ。迷信や伝説に支配され、呪いや魔術が人々に信じられている。先進国の近代的な考え方がどうしても受け入れられない、頑迷さにより、未だに開放されない人々。カースト制度はインド人にとって社会を形作る基本と未だに考えている、そのため生まれた階級から一生抜け出せない。差別は当たり前、自由や基本的人権など理解できない。そもそもインドの宗教、ヒンズー教に差別が説かれているからだ。一番貴い身分は僧侶階級のバラモン、二番目は貴族階級のクシャトリア、三番目は市民階級のヴィシャ、四番目は奴隷階級のスードラ、そして一番下にある身分は非人と呼ばれるバーリアである。                                                                                  フランス革命は市民が貴族に革命を起こし古い体制を破壊した、それがヨーロッパの近代を推し進める原動力になった。善くも悪くも先進国は人間は平等であると宣言をして発展した、ただし、これが通用するのは始め白人の男だけであった。この革命的な人間の平等という考えは、女や奴隷扱いされた黒人やアジヤ人や先住民たちにもだんだん広がった。しかし、インドではまったく古代のまま21世紀を迎えてしまったのだ。                                                                                                       プーランは四番目の身分スードラに生まれ、一方的な差別でいじめられる少女時代をすごし、やがて盗賊団に入り女盗賊として有名になった。彼女は二回の結婚をする、始めは親が決めた結婚で、無理やり嫁ぎいじめられ追い出された。それは狭い村ではよくある話で、出戻ったプーランは村人から離婚されたみっともない女としていじめられる。インドでは女は男より劣る存在とされ、教育も受けれずとことんいじめられる。この国の男たちは、女をいじめて憂さ晴らしをしているのだろうか?とにかく酷い話だ。このプーランを、拾ってくれたのは盗賊団のリーダー、同じスードラの男は同情して迎え入れてくれた。彼女はこの男と結婚し盗賊として生きる、金持ちから奪い貧乏人にそれを分ける。現代の義賊として活躍、しかし夫が仲間に殺され、自分も村人に捕まりリンチされる運命が待っていた。開放された彼女は復讐をする、村人20人を射殺した、そしてお尋ね者になる。彼女はこのことで一躍インドの伝説の女となった。そして、やがて自分から自首し11年の禁固刑になる、刑務所は彼女にとって始めての安全な所だった。プーランはそこで考えた、これからは自分のような不幸な人間をひとりでも無くそうと。そして、議員として立ち見事当選。かつて、銃を持った手にマイクを持ち、人々に訴えるプーラン、インドの社会を変えるための言葉の戦いを始めた。しかし、運命は皮肉にもかつて殺した村人の復讐で終る。彼女は暗殺されたのだ、ここに数奇な女の一生が終った。                                                                                                          インドは何時までもカースト制度のままの国なのだろうか?ヨーロッパが多くの犠牲を払い手に入れた、人間の平等という理想はインドでは根付かないのか? プーランの人生はインドの苦しみそのものだ。              
by sakulasou567 | 2009-11-19 09:15 | オスカルの仲間 | Comments(0)